世界ひとり旅日記🐾

ひとりで20か国以上を旅した経験を中心に、あれこれ書いています

インドの若者 <インド ムンバイからゴアへ③>

右往左往、という言葉がその時の私にはぴったりだったようだ。

近づいてきたのは若いインド人男性で、「あなたが何度も目の前を行ったり来たりするのを見ていました、何か困っているんですか?」と声をかけてくれた。

事情を話して、もしや同じ方向ではないかと期待を込めて彼の行き先を聞いた。

心の中で、乗り逃していた場合を考え始めていた。一度ムンバイ中心に戻ってしまうとヨガの訓練コース開始は明後日、直前では電車の予約が難しく、飛行機は高い。とにかく同じ方向へ行くバスに乗って、本来の目的地へはそこから向かおうという考えが浮かんでいた。予約なしでも、席が空いていればそこはインド、なんとかなるはず!

 

「僕は大学生で、就職の面接で今朝ムンバイに来て、これから家に帰るんです」。残念ながら全く違う方向だった。

予約したときのメールを見せるよう言われ、その通りにすると、「電話番号はないけど、会社名で調べて電話します」。

なんて親切!!いや、私はなんでそのことに気づかなかったのか?!(恥)

「でも、あなたのバスは何時なんですか?」

「そろそろ来るはずです」彼はそう言いつつ、早速、自分の携帯で調べてくれた。画面をみながら「似たような名前がいくつかあるけど…とにかくかけてみます」。

 

電話口で、彼は英語ではなく現地の言葉で話し始めた。最初の電話は別の会社だった。

次の電話でも英語ではなかったが、しばらく話し続けていたので、どうやら2回目でビンゴのようだった。電話を切ると彼はこう言った。

「時間は過ぎているけど、これから5分後くらいには到着するそうです」。

よかった!!!少なくとも乗り損ねてはいなかった!

お礼の気持ちを最大限伝えたいのに、シンプルなthank youしか出てこない。自分の頭のまわらなさを残念に思いつつ、もっと早くに電話するべきだったと伝えた。

「相手が英語が話せない場合も多いから、僕がかける方が良かったんですよ。じゃあ二手に分かれて探しましょう!もうすぐ着くはずです」

入ってくるバスの正面の表示に目を凝らしながら、これじゃない、これでもないと足速に歩いていくと、うしろから声がした。

 

つづく。